筋肉について 3
筋小胞体の働き
筋小胞体は、カルシウムポンプを持ち、能動輸送により、カルシウムイオンを取り込んでいます。
筋細胞に興奮が起こると、筋小胞体はカルシウムイオンを細胞質に放出します。
アクチンフィラメントは、トロポニンやトロポミオシンという調節蛋白を含んでいます。ミオシンフィラメントは架け橋を構成、ATPaseという酵素を持ち、収縮に際してATPを分解しエネルギーを供給します。カルシウムイオンの濃度が増加し、カルシウムイオンがトロポニンに結合すると、トロポニン、トロポミオシン間の作用により、アクチンフィラメントと架け橋が結合します。
架け橋は、ATPと結合すると、アクチンフィラメントから離れ位置を変え、ATPを分解すると、そこでアクチンフィラメントと結合し、元の位置に戻ります。この運動の繰り返しにより筋の収縮は起こります。
カルシウムイオンが、アクチンフィラメントのトロポニンに結合して、骨格筋の収縮を制御しているので、これをアクチン連関制御といいます。
筋肉の麻痺
終板には、アセチルコリンを分解するアセチルコリンエステラーゼという酵素があり、結合しているアセチルコリンをただちに分解し、次の情報に備えることができています。
アセチルコリンとよく似た化学構造をしているものとして、クラーレという物質があります。
クラーレは、アセチルコリンと同様に終板のアセチルコリン受容体と結合しますが、アセチルコリンエステラーゼで分解することが出来ません。
したがって、アセチルコリン受容体がクラーレによって占められると、アセチルコリンが結合してできなくなってしまうことにより、筋肉が麻痺してしまいます。
興奮が伝導されない場合は、筋小胞体のカルシウムポンプの働きにより、トロポニンに結合したカルシウムも回収され、筋肉は弛緩します。
筋収縮の種類
収縮とは、筋肉に力を発生させている場合の事をいいます。収縮した場合には、筋肉の長さが変わらない場合と、短くなる場合がある。長さが変わらない場合を等尺性収縮といい、ものを持ち上げようとしたが、持ち上がらなかった場合がこれにあたります。負荷をつりあった力が短くなる場合を等張性収縮といいます。ものを持ち上げようとして、持ち上がった場合がこれにあたります。
筋肉の収縮に伴い、熱が発生します。筋の収縮過程で発生する熱を初期熱といい、筋の弛緩した後に発生する熱を回復熱といいます。
回復熱は、収縮の後に、消費したATP、クレアチンリン酸を元に戻すために必要な代謝により発生する熱です。よって筋の弛緩時にも、エネルギーを必要としています。骨格筋は、運動時には最大の熱産生器官となります。
1回1回の活動電位に対応して起こる収縮を単収縮といいます。単収縮が終わる前に、つぎの単収縮が起こると、2つの単収縮は重なり、より大きな力を発揮できます。このことを、収縮の加重といいます。
単収縮が、終わる前に次の単収縮が起こる加重が続けて起きた場合、融合して収縮が続く事になります。
このことを強縮といいます。強縮といいます。強縮には、不完全強縮と完全強縮があります。強縮の中で1つひとつの単収縮の形が確認できる場合を、完全強縮といいます。
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